マイナンバー制度とは ~その3:個人事業主が気を付けるべき注意点・対応策~
※当記事は「2016年1月18日」時点に記載したものです。最新の内容(状況)は変わっている可能性がありますのでご注意下さい。
- マイナンバー制度とは ~その1:【図解付き】 概要・仕組みを解説!マイナンバーの何が任意!?~
- マイナンバー制度とは ~その2:マイナンバーの義務・罰則、会社への提出義務は!?~
- マイナンバー制度とは ~その3:個人事業主が気を付けるべき注意点・対応対策!?~
※マイナンバーの全体概要を把握されたい方はマイナンバー制度とは ~その1:【図解付き】 概要・仕組みを解説!マイナンバーの何が任意!?~をご参照下さい。
個人事業主の種別とマイナンバーの関係
まず、一概に「個人事業主」といっても、
- 社員を雇用していない個人事業主(自分1人だけ)
- 社員を雇用している個人事業主
のいずれかで、マイナンバーで義務化されている各種手続き(何を対応すべきか)が変わってきます。
後者の社員を雇用している個人事業主の場合は、分類的には会社(企業・法人)に近く、社員のマイナンバーを預かり源泉等の各種手続きを行う必要があります。
(ただ、今回は社員を雇用しているケースについては割愛します。)
では、前者の社員を雇用していない個人事業主の場合はどうなのでしょうか?
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社員を雇用していない個人事業主が気を付けるべき注意点・対応対策
社員を雇用していない個人事業主の場合、マイナンバーに関する特別な管理や対策を行う必要は無いです。
ただ、マイナンバーの提示・記入を求められるケースは、会社に雇用されている社員に比べると多くなります。
以下、マイナンバーの提示・記入が必要なケースについて説明していきます。
個人事業主と国民健康保険、国民年金とマイナンバー
会社を辞めて、個人事業主として独立した場合、まずすべきは住民票のある役所に出向いて「国民健康保険・国民年金」の手続きを行う必要があります。
※国民健康保険に関して、退職時に会社が属していた健康保険組合の任意継続をした場合を除く
そして、「国民健康保険・国民年金」の手続きを行う際に、所定の書類にマイナンバーを記載します。
まだマイナンバーの運用が開始されたばかりのため、大抵、窓口に行ったら「今日はマイナンバーが記載されたマイナンバー通知書(通知カード)かマイナンバーカードはお持ちですか?」と聞かれます。
そのため、国民健康保険、国民年金の手続きに行くときには、マイナンバーが記載されたマイナンバー通知書(通知カード)かマイナンバーカードを持っていくか、もしくはそこに記載されているマイナンバー(12桁の番号)を別のメモに控えて持っていくようにしましょう。
個人事業主と住民税とマイナンバー
「住民税」に関しては、マイナンバー関連の手続きは特にすることがありません。
会社に勤めていた方が会社を退職して個人事業主になる場合、会社を辞める時に「一括徴収」か「普通徴収」を選択するケースが多いと思いますが、「一括徴収」であれば会社側が対応してくれますし、「普通徴収」であれば自宅に納付書が届きますので、その納付書を持ってご自身で銀行かコンビニに支払いにいくだけです。
※住民税は、厳密には前年の源泉徴収票に記載されている住所の市区町村に対して支払うもので、納付書もその時の住所に送付されます。退職等に伴い住所が変わる場合は報告する必要があります。
その後も指定期間分の納付が終われば、また役所から自宅宛てに次の指定期間の住民税の納付書が届きますので、それを銀行かコンビニに支払いにいくだけです。
個人事業主と開業届とマイナンバー
個人事業主になる場合は、「開業届」を税務署へ提出する必要があります。
そして、「開業届」にもマイナンバーを記載する必要があります。
開業届は事前に自宅で印刷・記入することができますので、その際には、手元にあるマイナンバー通知書(通知カード)かマイナンバーカードに記載されているマイナンバー(12桁の番号)を所定の箇所に記入しましょう。
個人事業主と報酬とマイナンバー(国で定められている特定の報酬を受け取る時)
例えば、どこかの会社(企業・法人)から、講演などの依頼があった場合、その講演の報酬額が5万円を超える場合は、相手の会社側に個人事業主自身のマイナンバーを伝える必要があります。
理由としては、国で定められている所定の報酬を支払う場合、支払う側(※この場合だと会社)が源泉徴収を行う必要があり、源泉徴収後、支払う側が国税庁に対して納税を行いますが、その際の書類(支払調書)に個人事業主のマイナンバーを記載する必要があるからです。
どういったケースの報酬が上記の手続きに該当するかは、以下国税庁のホームページに明記されています。
1 源泉徴収が必要な報酬・料金等の範囲
源泉徴収が必要な報酬・料金等の範囲は、その報酬・料金等の支払を受ける者が、個人であるか法人であるかによって異なっています。
(1) 報酬・料金等の支払を受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲
イ 原稿料や講演料など
ただし、懸賞応募作品の入選者などへの支払については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
ホ 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金(2) 報酬・料金等の支払を受ける者が法人の場合の源泉徴収の対象となる範囲
馬主である法人に支払う競馬の賞金
引用-国税庁
逆に、個人事業主側(※)が相手の会社や他の個人事業主に対して、上記に該当する業務を依頼して報酬を支払う場合は、源泉の義務は課されていませんので、すなわち相手にマイナンバーを確認する必要はないようです。
※ここでの個人事業主は社員を雇用していない個人事業主を指す
個人事業主と確定申告とマイナンバー
個人事業主の場合、1年に1回、確定申告を行う必要があります。
(前年分の売上・経費を取りまとめて、翌年の2/16~3/15の間に実施)
そして、「確定申告」の手続きを行う際に、所定の書類にマイナンバーを記載します。
そのため、確定申告の手続きに行く時には、マイナンバーが記載されたマイナンバー通知書(通知カード)かマイナンバーカードを持っていくか、もしくはそこに記載されているマイナンバー(12桁の番号)を別のメモに控えて持っていくようにしましょう。
個人事業主と失業給付(雇用保険手当)とマイナンバー
個人事業主になった場合は失業給付(雇用保険手当)は貰えないのですが、もし会社を辞めた直後で、まだ個人事業主になるための開業手続きをしない&まだ仕事をはじめていない場合、その間は無収入となります。
そのため、個人事業主になるまでの間の収入を確保したい場合は、最寄のハローワークで失業給付の手続きをすることになりますが、その際に提出する「雇用保険被保険者離職票」にマイナンバーを記載する必要があります。
※失業給付を受けるためには、会社在籍時に所定の期間、雇用保険を支払っていることが前提です。
なお、「雇用保険被保険者離職票」は、退職時に会社側が発行してくれますので、その時までに会社にマイナンバーを伝えていれば、おそらく会社側で記入した状態で発行してくれると思います。
(もし未記入の場合は、手元にあるマイナンバー通知書(通知カード)かマイナンバーカードに記載されているマイナンバー(12桁の番号)を所定の箇所に記入しましょう。)
また、ハローワークに失業給付の手続きに行った際に、他の書類にマイナンバーを記載して下さいと言われる可能性がありますので、念のため管轄のハローワークにマイナンバーの持参が必要か、確認の電話をした方が良いかと思います。
- マイナンバー制度とは ~その1:【図解付き】 概要・仕組みを解説!マイナンバーの何が任意!?~
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