プログラミング教育と生きる力 ~教育現場における課題と期待~

子供と思考力とゆとり教育

以下(※)は、3歳から7歳までの3人の男の子の母親であり、公立高校の教員をしている方に「子供とプログラミング教育」に関するお話をしていた時に頂いた内容です。

※当記事中の灰色の枠で囲われた文章は、その母親教員の方とのお話の内容になります。

私が福祉、介護という分野の教員してるからというのもあるかと思いますが、論理的思考、批判的思考、発想力本当に大切だと思います。
今の小学生はまだ新しい取り組みがされ始めたことが色々ありますので、これから育まれていくかと思いますが、今の中学生~25歳ぐらいの、いわゆるゆとり教育と言われる世代の子供たちは、必要最低限の学習に偏って、時間がないから答え(結果だけ)を早々に与えられてきました。
そのせいもあって、経過や過程のなぜ、そうなるにいたったのかという根拠付けや、こうしたらこうなるかもと言った推論考察が弱い子がいるのが現状です。

ゆとり教育は本来、教科書重視で知識詰め込み型の教育方針から、欧米のような自由な発想力と思考力をつけ、のびのびと勉強を学ばせる経験重視型の教育方針をもって勉強に臨むというものでした。
その考え方は、まさにプログラミング教育で培われる思考力や発想力に繋がると思います。
しかし、実状は詰込み型の教育を受けてきた大人が、経験型重視の教育とは何をすればいいのか具体化できなかったことで、生徒の学力が低下したと批判されるようになりました。
同時に、スマホやタブレットなどを一人一台もつ時代になり、「ググる」という言葉があるように、疑問に対しすぐに答えを知ることができる環境ができてしまったのも、答えだけを早々に知りたがり経過や過程を考えなくなった原因かもしれません。


当サイトではプログラミングを学ぶことで培われるロジカルシンキングクリティカルシンキングラテラルシンキングなどの思考力について紹介していますが、このような思考力を育むことは今の育児や現場の教育環境にどのような効果(影響力)があるのか、教育現場の実感とプログラミング教育が育む思考力の必要性について1人の教育者から頂いた観点ではありますが以下にご紹介します。

子供が考える力をつける教育は親の関心や感心が高い

こうした背景もあってか、自分で発想して、自分で推論推察して、過程と結果を結びつけて、なぜそうなったのか、何がうまくいったからいい結果なのか、何を見をとした、勘違いしたからうまくいかなかったのか、うまくいかなかったら次はどうすればいいかという発想が乏しくなっています。

「子供とプログラミング教育」の記事を読んで、ここを鍛えるにはロジカルシンキングクリティカルシンキングラテラルシンキングという3つの思考力が具体的に示されてるのは親にも子にも関心と感心が強いと思います。

プログラミングは、まさに上記で頂いた発想、推論、結果、考察、修正の積み重ねです。

ただし、上記学校教育の観点とプログラミング教育で異なるのは、自分がプログラミングをして作りたいものが明確である場合は「何がうまくいったからいい結果なのか」がはっきりしているという点です。
「発想通りに動く=うまくいく」という結果をもって考察ができるというのは、考える上で非常にシンプルになると思います。

そのため、お題と結果を与えられて、その過程を考えていくというのは、今までにあまりなかった教育なのではないでしょうか。
プログラミング教育は過程を考えることができるようになる教育法なのです。

(ちなみに、プログラマーと呼ばれる人たちは、発想通りに動いたからといってうまくいったと現状に満足するのではなく、0.00001秒でも処理を早くするためには、少しでも使う人が使いやすくなるためには、と考え改善し続けます。)

プログラミング教育とコミュニケーション能力

更に言うと、今の教育は生きる力を身につけるということを柱にやってるので、プログラミング教育においても、そこに上手にはめ込むような要素があると尚、良いかもしれません。

特にコミュニケーション能力や表現力に対し、LINEやメールなどでしか表現できないという子供もいます。今の子供はIT機器やSNSに囲まれて、それが当たり前になっており、対面コミュニケーションを苦手としている子供も多いのです。それによって起こるトラブルが今の学校の大きな課題の1つになっています。

プログラミング教育を含めてITが世間一般には注目はされていても、結局、対コンピューターとなるため、尚更対面コミュニケーション能力を不足させてしまうものではないかという固定観念があるのが一般から見た現状です。だからこそ、プログラミングを含めたIT教育がコミュニケーション能力の欠乏に繋がってしまうのではないかという思いを覆せる情報がほしいと思います。

確かに、プログラマーといえば部屋に閉じこもってひたすらにプログラミングをしている人で、ほかにあまり関わりを持たない人、というイメージがあるのも現状です。
スマホやパソコンの中だけで、口ではなく指を動かし会話をする、こうしてコミュニケーション能力が欠乏していくというイメージもあると思います。

しかし、以前の記事にも書きましたが、ピアノを習い事で学んだ人が全員ピアニストになるわけではないように、プログラミングを学んだ人が全員プログラマーになるわけではありません。学ぶ過程で必要な知識を吸収し、自分がしたいことに活かしていくための一つのパーツになるのです。

そして、プログラミングをする人=部屋の中というイメージがあるかもしれませんが、私のようなフリーランスエンジニアには営業(対面コミュニケーション)の能力も求めれれます。
プログラマーを含めたシステムエンジニアという職種は、単にプログラミングを書くことではなく、そのロジック(思考力)を使って提案をする力が求められていると、私自身実感しているところです。

1人で生きていける力と、社会で生きていく力

ただ、逆を言うようですが、一人でも生きていける力がつくという意味では、プログラミングができるということは、すごく強みになるとも思います。

以前、テレビで見たコメンテーターがまさにそのようなことを言っていました。
『日本は集団の美徳を重んじる文化がいまだにあるから、僕みたいなはみ出しものはプログラミングの力があれば一人で生きていくのにすごいプラスになる』

私の考えとしては、実際、対人関係に障害を抱えてる人たちには希望の光だと思うので、一理あるとは思います。
ですが、やはりそうではなくて、ITは今現在、そして今からの未来、先進国でも発展途上国でも都会でも田舎でも全世界で発展する産業ですから、その地域に合わせた開発ができる、それで人、町のネットワークが繋がれやすくなるみたいなことができたらと思います。

プログラミングの能力だけで生きていくだけの生活費を稼げる人は多くいます。

ただし、プログラミング(IT)の仕事が「一人だけで生きていける(コミュニケーションを取らずに済む環境)」という訳ではありません。
ある一定の規模であれば一人で仕事ができますが、規模が大きくなればなるほど、多くの人と関わり、認識を合わせ、ずれがないか確認し、一緒に作り上げていくチームワークが必要になるのです。

そのため、子供達へのプログラミング教育環境においてもコミュニケーション(チームワーク)を重視したものも多くあります。
現在は親や友達と何がしたいか話し合いプログラミングで形にし、結果を発表するという形のワークショップが主流になっています。

時間も場所も選ばないというのは、プログラミングを含めたITの強みです。1人で生きて行く力と、社会で生きていける力両方が備わるような教育が求められているのだと、今回頂いた感想で改めて実感しました。

そのようなことが学んでいけるプログラミング教育を、私自身、実現に向けて行動していきたいと考えています。

プロフィール(当メディアの運営者 兼 筆者)

保育園協会の園長から「ITで保育業界を変えたい」と相談を受け、保育士と協力し合い、保育以外の業務を自動化し、保育士が保育に専念できる環境を創り上げる。

そして、保育の現場で子ども達の個性=無限の可能性を育む環境に関る中で、大人社会でも同様のことはできないかと考え始めたところ、「こどもも大人も凸凹(違い)を認め合える社会」の実現を目指すNPO法人オトナノセナカに出会い参画する。

現在はNPO活動と並行して、フリーランスエンジニアとして自分が得意とする「IT」x「教育」x「子育て」の分野を中心に活動を開始する。様々な人がお互いを認めて高め合い、創造性が渦巻く楽しい世界を目指して。

プログラミングレッスン・教室、IT研修・教育、ITコンサル・マーケティング、IT(技術)相談・支援、システム開発(WEB・スマホ)、保育園IT化、子ども・子育て関連事業など