「多角経営」と「選択と集中」
時代背景から見る「多角経営」と「選択と集中」
高度経済成長期。
作れば何でも売れる時代。
そういった時代背景を受けて、手広く色々な事業をはじめる企業(経営の多角化)。
しかし、バブル崩壊後、内容の薄い製品・サービスは全く売れなくなり、イコール、そういったモノを作っていた企業は倒産に。
そういった中で、経営資源を1点に集中する「選択と集中」を行い、変化する時代環境に適応して生き残りをはかっていく。
といった感じの時代的な流れがあるかと思いますが、自分はバブル崩壊後の世の中しか知らないので、経営資源を1点集中させる「選択と集中」が当たり前の感覚でした。
しかし、カンブリア宮殿で放映されていたbrotherの「多角経営」を見て少し考え方が変わりました。
確かに突破口を開き生き残る手段(力)を持つためには選択と集中は必要だと思います。
ただ、同じ製品だけをずっと作り続けて生き残れるか。
否。そんなことはありません。
例えば、
タイプライターだけを作っていた企業が今も生き残っているか。
フィルムだけを作っていた企業が今も生き残っているか。
そんなことは無いですよね。
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多角経営のポイント
上記で述べたbrotherの多角経営は、ある製品で培った技術を別の製品として生み出すもの。
ミシンのローラーから扇風機・洗濯機を。プレス技術からタイプライターを。タイプライターからプリンタ/FAX等の複合機。そして情報機器という大きなジャンルから通信カラオケまで。
アウトプットだけ見たら、全く繋がりのない製品を手当たり次第作ってるように見えて「何で生き残ってるの?」と思わされますが、その経緯を聞くと、なるほど、というものでした。
選択と集中で培った技術を転用しての多角展開。全く関係無いように見えて共通点がある。
これらを見て思ったのは、
「選択と集中」と「多角経営」の融合
が今後、重要になるなということ。
本当に全く関連の無い事業を手広くやるという意味の「多角経営」は今の世の中ではリスクが高いと思いますが、「選択と集中」で得た技術・スキル・アウトプットなど、そのコアとなるものに通ずる(関連する)もので横展開をするという意味の「多角経営」は理にかなっていると思いました。
類似の事例で有名なのは富士フィルムのナノテクノロジー。
フィルムだけの事業では経営が危なくなり、次に着目したのが化粧品。
知らない方は「なんで化粧品?」と思うかと思いますが、フィルムで培ったナノテクノロジーを化粧品の肌への浸透に流用したというもの。(詳細はググれば色々と出てくると思うので割愛)
新業態の賞味期限は5年、長くて10年と言われるようになった時代です。
新たに立ち上げた新規事業が1つの形になったとしても、更にその先を考えると、常に「多角経営」と「選択と集中」の組み合わせを意識して、必要な時期に必要なタイミングで各々をクロスして投入していかなければいけないな、と改めて思いました。
経営・ビジネスってのは本当に難しいですね。。。
知れば知るほど、考えれば考えるほど、経験すれば経験するほど、怖くなります。
だからこそやらねばならぬ!