日本のものづくりの技を守る取り組み ~IT技術で伝統を守れ~
世界に誇る日本のものづくり。
しかし、今大きな問題に直面しています。それは技術の繋ぎ手がいないことです。
今回はIT技術を使って日本のものづくりの技(伝統)を守る取り組みをご紹介します。
文字では伝えにくい技術を動画で残す
ある金型メーカーでは画像と動画付きのマニュアルを作って技術を後世に伝えようとしています。
この金型メーカーには大企業にも高く評価される”加飾”という技術があります。
この加飾、柄や模様を後から付け加えるのではなく、もともとの金型に直に柄を掘り、それを磨くことで柄を浮き出させ独特の質感を持った製品を作り出すことができる技術です。
その最後の工程でもある磨くという技術、独特な風合いを出すために重要なこの磨きの技術の伝承者がいないことが、この会社の悩みでもありました。
技術を途絶えさせないために会社が取り組んだのはマニュアル化。
ただし、文字だけでは使えきれない部分を写真や動画を組み込むことで少しでも伝わりやすくしようと考えたのです。
このマニュアル作成に使ったのが、株式会社スタディストの「Teachme Biz」というマニュアル作成アプリです。
このアプリは画像を工程順に並べて作られます。
画像には直接説明書きをつけることができるので、注意点や強調点を記載し、職人ならではのコツを伝えることができます。
また、動画の保存もできるので、実際の動きを見た方がいい作業には動画を使って説明することができます。
紙資料でマニュアルを残すよりも伝わりやすく、動画を見て学ぶこともできる新たなマニュアルの形を、伝統の技を伝える技法として取り入れているのです。
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伝統工芸の制作過程を発信
大手IT企業Googleでも伝統工芸を守る取り組みが行われています。
Googleのサイト「Made in Japan:日本の匠」では西陣織、九谷焼など82種類の工芸品を展示しています。
画面を立ち上げてすぐ、工芸品を紹介する動画が始まります。
動画が最初に来ることで、その世界観に入りやすくしているのです。
また、地図を使って工芸の生まれた場所を検索することもできます。
完成した工芸品を見る機会はあっても、よほど興味を持たない限り、その過程を見る機会はなかなかないものです。
完成品だけでは見ることのできない工芸品にかかっている職人の手間や細部への気遣いをこのサイトを通じて知ることができるのです。
また、作品によってはその制作風景の動画も用意されているので、このサイトを見て興味を持つ人が増えれば技の伝承に繋がるとも考えています。
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技の伝承と動画
この2つの事例からも技の伝承に動画が大きな役割を果たしていくことが期待されますが、動画で残すことには大きなハードルもあります。
動画で公開することは技術の流出にもつながると考えられ、そもそも加工場にIT技術を持ち込ませない企業も多くあります。
動画を残す際も秘伝を守るために、どこまで残すか、取り扱いはどのようにするのか、伝統×ITのバランスをうまくとっていくことが必要になってきます。
引用-WBS(2016/2/12放送)