スマートグラス ~医療・建築・工場現場や技術継承で活躍~

ウェアラブル端末とは

ウェアブル端末(Wearable Computer/Wearable Device)とは、Wearableつまり身に着けることができる端末(コンピューター)のことを言います。
日本でウェアブル端末が注目されたきっかけはグーグル社のグーグルグラスや、アップル社のアップルウォッチ等ではないでしょうか。


ウェアラブル端末に関しては、上記のような眼鏡型、時計型以外にも衣類型などの研究開発も進められており、衣類型では体の異常などを検知して知らせる医療用器具の1つとしても注目を集めています。

眼鏡型ウェアラブル端末 ~スマートグラスとは~

こういったウェアラブル端末の1つである眼鏡型のウェアラブル端末のことを「スマートグラス」と言います。

そして、「グーグルグラス」は2012年、米グーグルが眼鏡型ウェアラブル端末として発表したスマートグラスです。
右目の部分に仕込んだディスプレイが画面になっていて、例えば、行きたい場所を声に出すと目の前のディスプレイにグーグルマップが表示され、道案内をしてくれます。
このほか、メールの送受信や録画機能等も付いていました。

ですがこのグーグルグラス、2015年1月に突如販売の中止が発表されました。
プライバシーの問題が影響していると言われています。

個人向けには販売が難しかったこの眼鏡型ウェアブル端末ですが、法人向けにはグーグルより前に日本の多くの企業が開発し、すでに様々な分野で活躍し始めているのです。

医療・建築・工場など様々な現場や技術継承で活躍 ~作業支援マニュアルや熟練の技のコピー支援としてスマートグラスを活用~

スマートグラスの強みは目の前に情報が映し出されることによるハンズフリー化(手が自由に使えること)です。

それにより、今までは都度、マニュアルを確認するために手を止める必要があったシーンでも、手を止めずに目の前に次の指示が出され、効率的に作業を進めるようになります。

以下に様々な現場で活用されているスマートグラスの利用シーンをご紹介します。

工場や建築現場などの作業現場で活躍するスマートグラス

パナソニックでは2015年11月組み立てラインの一部で眼鏡型ウェア物端末を使い始めました。
眼鏡型ウェラブル端末スマートグラスの特徴は、目の前に画像が映し出され、作業者はハンズフリーになることです。
頭にスマートグラスを取り付け、タブレットから無線で作業工程マニュアルを表示します。
従来の紙でのマニュアルだと、不明点があるたびに手を止めて紙をめくって内容を覚えて作業に戻る必要がありました。
しかし、このスマートグラスでは作業者は作業をしながら目の前に作業指示が写しされるので、作業を中断することなく進めることができます。

例えば、少量で多品種の商品を作る時、膨大な量の作業工程を数多く覚えなければ作業効率が非常に悪くなってしまいましたが、このスマートグラスを使うことで、初心者でも迷うことなく作業をすることができるようになるのです。
今まではリーダーや熟練者が横について教える必要がありましたが、写真や動画で説明できるようになることで、熟練者も作業に集中することができます。

また、外国人労働者を多く雇っている企業では入れ替わりが多いためスマートグラスを使うことで効果が出やすいと考えられるのです。

病院で活躍するスマートグラス

スマートグラスは病院でも取り入れられています。
東大病院の人工透析の治療室では、音波検査装置で血管の位置を見ながら針を進めていきます。

ブラザー スマートグラス 医療 ブラザー スマートグラス 医療

従来では離れたモニターを確認しながら針を進めるため、血管とモニターを同時に見ることはできませんでした。
このスマートグラスで超音波検査装置の画像を目の前に表示することで、ほとんど視線をずらさずに針を進めることができるようになりました。

他にも色々な場で活躍するスマートグラス

以下は車の点検支援で活躍するスマートグラスです。

他にも高所での作業をする作業員にとってマニュアルを見るために手を放すのは非常に危険ですが、目の前にマニュアルが現れれば作業効率だけでなくリスクも減少します。

同様に、以前、日本のものづくりの技を守る取り組み ~IT技術で伝統を守れ~にて、写真や動画で日本のものづくりの技術の伝承を残していこうとする取り組み技を紹介しましたが、こういったものづくりの技術もスマートグラスを使うことで技術をより伝承しやすくなると考えられます。

スマートグラスと日本企業(メーカー)

スマートグラスといえばGoogleの「グーグルグラス」と思われる方もいるかもしれませんが、日本企業の各メーカーもスマートグラスを生み出しています。

EPSON MOVERIO スマートグラス BT-200AV

スマートグラスをかけるだけで、いつでもどこでもパーソナルシアターになったり、ニュースなどのコンテンツが読めるようになります。

以下、MOVERIO体感ムービーをご覧ください。

SONY 透過式メガネ型端末 SmartEyeglass Developer Edition SED-E1

SONYの「SmartEyeglass」では、目の前の風景に情報が重ねて表示されるAR(拡張現実)により、視線を大きく変えることなくハンズフリーでさまざまな情報を取得できます。

スマートグラス sony smarteyeglass スマートグラス sony smarteyeglass

ブラザー工業 エアスカウター(AiRScouter)

パナソニックや東大病院が使っている端末を手掛けたのはブラザー工業です。
2012年に法人向けに特化して販売しました。
先にも書きましたが、ウェアブル端末といえばグーグルやアップルと思われがちですが、それよりも前に日本企業が法人向けに販売を行っていたのです。

東芝グラス”Wearvue”「TG-1」

東芝も2016年2月29日に東芝グラス”Wearvue”「TG-1」の販売を決定しました。
眼鏡型のディスプレイになっており、眼鏡レンズに光を反射させて視線の先に映像を移すことができます。
質量も50gと卵1個分の軽さ。小型、軽量で長時間の作業もストレスなく使用できるように考えられています。

パナソニックと同様、工場内や倉庫内での作業やインフラ保守管理の補助などを主な用途として想定しています。


個人向けには二の足を踏んでいるスマートグラスですが、法人向けではとても熱い市場になってきそうです。

プロフィール(当メディアの運営者 兼 筆者)

保育園協会の園長から「ITで保育業界を変えたい」と相談を受け、保育士と協力し合い、保育以外の業務を自動化し、保育士が保育に専念できる環境を創り上げる。

そして、保育の現場で子ども達の個性=無限の可能性を育む環境に関る中で、大人社会でも同様のことはできないかと考え始めたところ、「こどもも大人も凸凹(違い)を認め合える社会」の実現を目指すNPO法人オトナノセナカに出会い参画する。

現在はNPO活動と並行して、フリーランスエンジニアとして自分が得意とする「IT」x「教育」x「子育て」の分野を中心に活動を開始する。様々な人がお互いを認めて高め合い、創造性が渦巻く楽しい世界を目指して。

プログラミングレッスン・教室、IT研修・教育、ITコンサル・マーケティング、IT(技術)相談・支援、システム開発(WEB・スマホ)、保育園IT化、子ども・子育て関連事業など