ロボット技術の進化と未来 ~最先端技術を活用したロボット社会~
進化するロボット技術、新しいロボット社会の形
今ロボット市場が活況を帯びています。
様々な分野において専用のロボットが開発され、作業の効率化や人間にはできないことが実現しています。
過去現在からロボットと生活する未来の社会が想像できるようなロボットたちの事例を紹介していきます。
ロボットの過去現在未来
ロボットといえば現代社会でこそ人間のような二足歩行や動物のような四足歩行になっていますが、一昔前は違いました。
元々は工業用のアームのように、ものを置くロボット、持ち上げるロボット、くっつけるロボットといった何か一つに特化するロボットの活用が大半でした。
そこから技術は進歩し、一番に身近となり社会に溶け込んだロボットといえばソニーが1999年から2006年にかけて発売していた子犬型ペットロボットアイボ(AIBO)ではないでしょうか。アイボはソニーによる修理対応が2014年3月末で打ち切られたため故障したアイボの修理は困難となってしまいましたが、ペットロボットというジャンルを確立した意義は大きいのではないでしょうか。
さらに2014年にはソフトバンクのPepper(ペッパー)が発表され、2015年には一般販売されました。
テレビではマツコロイドなど、人を模したロボットが次々と登場しています。
それでは、以下に社会で活用されているロボットの事例を紹介していきます。
スポンサーリンク
アトラクションパーク×ロボット ~ハウステンボスで未来の接客を~
ハウステンボスではロボットを活用した戦略で集客を狙っています。
口火を切ったのは2015年7月7日にオープンした「変なホテル」です。
フロントやポーター等の業務にロボットを導入した、未来のホテルになっています。
フロントには女性型や恐竜型のロボットがおり、前に立つとセンターで感知し話を始めます。
宿泊部屋はカードキーが発行されますが、これとは別に顔認証システムも導入しています。
顔画像を登録することでキーレスでドアを開けることができるのです。
そして2016年7月16日にオープンするのがロボット王国です。
ロボットが総料理長を務める「変なレストラン」では、ロボット料理長がお好み焼きを焼いたりバーテンダーロボットが登場したりします。
また、ソフトクリームを作ってくれるロボット「やすかわくん」もすでにハウステンボスで仕事をしているようです。
ほかにも、子ども達が乗り込んで操縦できるロボットやコミカルなダンスを披露するロボットのステージショーなど、ロボット満載のパークエリアになる予定です。
未来の社会が想像できるロボットの活用事例だと思います。
2016年ゴールデンウイークの4/29~5/5にプレオープンしているようですので、お近くの方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
私は7月16日のグランドオープンあたりで行こうと思いますので、その様子はまたお伝えします。
スポンサーリンク
接客サービス×ロボット ~ソフトバンクPepper(ペッパー)だらけのケータイショップ~
2016年3月28日から4月30日まで表参道のソフトバンクショップでロボットだけで接客する携帯ショップが期間限定でオープンしていました。
Pepperが呼び込み、受付、来店目的などのヒアリング、商品紹介などの業務を分担して行います。Pepperの案内に沿って店内を回ることができ、商品の受け渡しなどはPepperにQRコードを読み込ませることでロボットアームと連携し指定された箇所の商品を取りテーブルの上においてくれます。
人型ロボットが受付、ヒアリング、提案を行う店舗としては世界初の取り組みとなり、高い注目を集めていました。
また、待合スペースではPepperがロボギャグを行って楽しませてくれ、掛け合いをしているPepperたちもいるそうです。
今回のショップのメインは携帯電話の新規契約のみですが、ロボットだけのショップは今後のロボットを活用した社会の未来の日常を感じることができるお店だと思います。
期間限定のため公開は終わってしまいましたが、今後もまた進化したショップが展開されることが期待されます。
スマホ×ロボット ~シャープ RoBoHoN(ロボホン)で未来のスマホを~
シャープは2016年5月26日にロボット型スマホ「RoBoHon(ロボホン)」を発売すると発表しました。
このロボホン、「ココロ、動く電話。」というキャッチフレーズの通り、電話やメール、写真を撮ったり調べ物をしたりと従来のスマホとしての機能はもちろん、会話をすることやダンスをすることもできます。
身長約19.5cmと手のひらサイズよりは少し大きめですが見た目がすごく可愛いロボットです。
おはようと声をかければ天気や今日の予定を教えてくれ、言葉や音楽に合わせて楽しく動き回り、顔を識別して名前を呼んでくれます。
首から下げれる専用のキャリングケースもあり、一緒にお出かけでき、GPS機能搭載で今いる場所に合わせて必要な情報を教えてくれ、目的地を伝えると地図やルートをプロジェクターで見せてくれます。
もちろんちゃんとした電話としても使えますし、ハンズフリーでの通話中相手の声に合わせてロボホンが動くこともできます。
声でメールが送れ、届いたメールの内容に合わせ動きをつけて読み上げてくれます。
ロボホンが知っている顔を見つけると名前を呼び掛けて写真を撮ってくれたり、旅先などで立ち止まった風景を自動で撮影してくれたりもします。
本体価格は198,000円(税別)、これに加え音声認識を含むすべての機能を使うには月額980円の「ココロプラン」とフリーSIM代金が必要になります。
このココロプランには日々進化するソフトウェアサービス面のカバーもしており、内蔵プロジェクターと連携した情報提供が行われ、当面はパートナーから提供されるアプリの利用料も含まれます。
また、故障や消耗品交換が割引となる「ケアプラン」も月々990円で提供されます。
つまり、ロボホンと一緒に生活するには最低でも198,000円プラス月々3,000円ほどの維持費が必要になるため、まだまだ一般家庭でロボホンを買おうとするところは多くないかもしれませんが、これだけの機能を有するロボットを手に入れるには相応の対価かもしれません。
ロボホンは話しかけて一緒に連れ歩く、ロボットの未来の形が現実のものに近づいていることを感じさせてくれる私たちの身近に登場した新しい形のロボットだと思います。
医療福祉×ロボット ~世界初のサイボーグ型ロボットHAL(ハル)~
HALは身体に装着することで身体機能を改善、補助、拡張することができるロボットです。
「人」「機械」「情報」を融合させ、体の不自由な方のアシストをしたり、いつもより大きなチカラをだしたり、さらに脳・神経系への運動学習を促すことができます。
HALの動作原理は5段階になります。
①考えることThink
まずは「歩きたい」と考えること。私たちは歩くという行為を常に無意識で行っていますが、人は体を動かすときはまずは脳で考える事から始めます。
HALの動作原理も同じです。まずは「歩きたい」と考えることから始まります。
②送ることSend
①で考えたことを実行するために、脳は神経を通して必要な信号を動作に必要な筋肉へ送り出します。
脳から送られた信号をそれぞれの筋肉が受け取ることで、考えた動作に合わせて必要なチカラの分だけ筋肉を動かします。
③読み取ることRead
②で神経を通じて筋肉へ送られた信号は非常に微弱な生体電位信号として皮膚表面からあふれ出してきます。これをHALは独自に開発したセンサーを皮膚に張り付けるだけでその生体電位信号を読み取り、そのほか様々な情報を組み合わせて装着者がどのような動作をしたいと考えているのか認識します。
④動くことMove
③で認識した動作に合わせて、パワーユニットをコントロールします。それにより、装着者の意思に沿った動きをアシストしたり、普段より大きなチカラを出すことが可能になるのです。
⑤学習することFeedback
人の脳は実際に体がどういう信号でどのように動作したか確認を行います。HALも同様に「歩きたい」と考え「歩く」という動作を適切にアシストしたとき、「歩けた」という感覚のフィードバックが脳へ送られます。
これにより脳は歩くために必要な信号の出し方を少しずつ学習していきます。
HALは動作に対する正解を脳に教えることのできる唯一のロボットです。医療分野や福祉分野だけではなく、工事現場の重作業支援、災害現場でのレスキュー活動など幅広い応用が期待されています。
高齢化×ロボット ~移動や生活を助ける 自動車会社の参入~
トヨタ自動車のロボット市場への参入が進んでいます。
自動車会社でロボットといえば、アーム型だったり塗装用だったり、ライン上にあるロボットを創造するのではないでしょうか。
今、自動車会社は高齢化の加速を見据えてロボット産業に参入しています。
トヨタ自動車は2017年にも「歩行練習アシスト」ロボットを実用化すると発表しています。
「歩行練習アシスト」ロボットは、下半身の麻痺などで動きが不自由になったとき、正しい歩き方ができるよう動きを助けるロボットです。
また、開発を進めているロボットには、タブレット端末で操作し物を持ってくるなど、生活に密着した「生活支援ロボット」もあります。
今後はご飯を食べるサポートをするなど、要介護者がいろいろな作業を気軽にできるように性能を上げていくとのことです。
自動車会社のロボット市場参入は、自社で培った安全性能や技術力を活かした面で優位性があると言います。今後の未来のロボット社会を実現するうえで、自動車会社のロボット市場参入も目が離せません。
工場×ロボット ~設備からパートナーへ~
川田ロボティクス(株)は10年以上にわたって人型ロボットヒューマノイドの研究開発に携わっています。
工場用ロボットNEXTAGEは単なる工場ラインのロボットではなく、テーブルや工具に貼ったマーカーを画像処理し、環境を理解して作業を実行します。
NEXTAGEは片腕を軸にして作業をしたり、双腕のためモノの持ち替えもでき、工程間のワークの受け渡しにも活用できます。
また、安全認証を取得した各種センサーを取り付ければ、人や無人搬送装置の接近を検知し、動作を停止させるなどの運用もできるようです。
従来のロボットが行っていた単純作業ではなく、配線などの柔軟物を取り扱う難しい工程の入った作業など、人の手で行われている繰り返し作業をロボットが行えるようにすることで、工程管理や付加価値を生み出す分野に人が力を注げるようになります。
人と共存する作業ロボットは、設備ではなく人のパートナーになっていくのではないでしょうか。
次回は「ロボット技術の進化と未来 ~人工知能の進化、人間とロボットが共に切り開く未来の形~」にて、ロボットが飛躍的に進化することになった人工知能と、今まで紹介したロボットたちがもっと私たちの身近になったとき、人間とロボットが共に切り開く未来の形について、過去と現在を交えながらお伝えします。