大手企業への就職か・ベンチャー企業への就職か ~大手の安全神話崩壊、大手志向に求めるもの~
大手企業の現状について感じること
東芝の不正会計のニュースをここ最近、見ない日はないですが、日に日に損失額が上がっています。
500億円の損失が発覚というのからスタートして、昨日は最大9,000億の損失になるとの報道も。
東芝の純資産が約1.7兆円弱と言われているので、そうであれば、その影響度は本当に大きい。
(上場は廃止にならないようだが。)
昨日のWBSで見た内容では、利益が売上を上回っている謎の現象が何度もあったそうで・・
電機メーカー関連の大手企業で窮地に立たされているのはシャープだけかと思っていましたが東芝もとは。
一昔前まで、東芝・シャープ・NEC・富士通・日立・パナソニックといった大手企業電機メーカーは人気の就職先でしたが、もういつ何が起こるか分からないです。
こういうのを見るたびに何度も何度も何度も思います。
大手企業志向の就職活動に関して
私は当時、2007年卒として就職活動をしていました。(ちなみに理系(情報系)卒です。)
その時期の就活(採用市場)は、リーマッショックが発生する2年前で売り手市場真っ盛りの時期でした。
今以上に大手=安全・安心また高給与ということもあり(正確にはそういったイメージがありの方が適切?)、自分の周りはほぼ全員がSONYや任天堂、NTTコミュニケーションズやNEC・日立・パナソニックといった大手企業本体への就職を決めていきました。
中小企業やベンチャーを選択する人はほぼ0に近かったです。
そして、現在は一昔前に比べると、大手志向型の就職活動は多少は落ち着いているのかなと感じるものの、それでも「大手志向」のニュース・記事を今でも見たりします。
(特に景気が不安定になった時期は、時代の波というか大手志向が顕著に出ますね。)
ただ、今と昔では同じ大手志向といっても、学生が置かれている状況は少し違うと感じています。
- 一昔前の学生
- 大手が窮地に追い込まれると言った状況をあまり実感として知らない。
- 現在の学生
- 大手であったとしてもいつ何があるか分からないという状況を知っている。
という点です。
私自身、大手企業に就職するか?ベンチャー企業にするか?という選択
今、就職活動をしている学生さんにはイメージが付きづらいと思いますが、当時は大手企業の赤字決済なんてニュースで聞くことなど無く、学生の大半は大手は滅多に潰れなもの、追い込まれないものと思っている人が多かったと思います。
私は大学の専攻も情報系でありプログラムも好きだったので、業種はIT系では絞っていたものの、規模に関しては大手系、中小系、独立・ベンチャー系と色々と見ていきました。
ただ、就職して数年後には独立して地元で地域創生に絡む仕事がしたいと思っていたので、最終的には幅広い業務に携わり、求めれば自分で色々とチャレンジさせてもらえると思った「100人規模の独立系ベンダー」に入社を決めました。
ちなみに、当時、その選択をした時、周りの友達からは「え?なんで大手蹴ったの?もったいなくね?いつ潰れるかも分からんような場所でしょ?」などと色々と言われたのを覚えています。
最終的には就職活動というのは、就職した後にどうしたいか・どうありたいか(なりたいか)などの価値観の違いやライフワークバランスに何を求めるかの違いで、結局人によって就活(就社)の選択肢は異なると思いますが、私自身、今では独立して給与もなんとか中小企業~大手企業くらいの報酬は得ることができ、かつ自分の家で自分のペースで自分が求める働き方と仕事を手に入れることができたので、その選択は間違えて無かったと思っています。
(ただ、当時はやはりちょっとだけ大手にするかベンチャーにするか悩みましたが・・)
厳密には、自分がした選択を自分にとって正解となるようには考えて考えて考え続けて、失敗しても諦めず努力・改善しチャレンジし続けて手に入れたといった方が適切化もしれません。
さて。
改めて今一度、現代(※)の就職活動における「大手企業への就職を希望する大手志向」が意味するものについて、今一度考えてみたいと思います。
※この記事を書いている2015年前後
スポンサーリンク
一昔前の大手企業に就職することで受けられるメリットは?
大手企業に勤める社員個人が享受するメリットでパっと思いつくのは以下のようなことでしょうか。
大手企業における雇用形態や企業体力・財力におけるメリット
- 年功序列
- 終身雇用
- 倒産のリスクが小さい
- (平均より)高い給与
- 充実した福利厚生
仕事という枠まで幅を広げれば、以下のようなこともあると思います。
大手ならではできる仕事という面でのメリット
- 長年培った技術(ノウハウ)
- 企業体力(お金・物:新しいことに投資ができる)
- 企業スケール(人や地域:広範囲を攻めれる)
すなわち、その企業(大手)でしか実現できない何かがある。
スポンサーリンク
現代の大手企業に就職することで受けられるメリットは?
「年功序列、終身雇用」について
言うまでも無く、ニュースを見ていれば分かる通り、「必ず」保証されるものでは無くなってきました。
「倒産のリスクが小さい」について
こちらも言うまでも無く、経営再建・倒産などのニュースを見ていれば分かる通り、大手企業であれば「必ず」倒産しない・大丈夫というのは無くなってきています。
(ただ、確率論や実際の数値で見れば、もちろん中小より大手の方が安全という観点はある。)
「(平均より)高い給与」について
統計情報や実際の大手勤めの友達比較した場合、現時点ではまだ平均的には大手の方が給料は高いなと感じます。
ただ、残業代まで含めて考えた場合、大手(特に上場企業)は月30時間迄といったことが残業規制が徹底されているため、残業代が全額出る中小・ベンチャーでがっつり働いた場合は大手より収入という意味では多くなるケースは良く聞きます。自分の周りにもいます。(といっても、その場合、もちろん労働時間は多くなりますが。)
ただし、以下の記事にもあるとおり、大手ではポスト(上位の役職)が少なくなっているところもあるため、昇進する場合までを含めて考えると、大手で上位職に付けなくて足踏みをするよりかは、中小・ベンチャーの方で上位職についた方が高くなるケースも全然あり得ます。
課長にすらなれない40代の現実。ポストがない、給与も減る一方で…
5年前、『7割は課長にさえなれません』という著書を出したのですが、その当時に比べて、現在の事態は深刻化しています。このままいけば、40代の8割以上が役職に就くことができず、ヒラのままで終わると断言できますね
昔から日本企業は年功序列が強く、大手企業は管理職が無駄に多い傾向にありました。たとえば、昔のソニーは正社員の4割が管理職でした。現在は管理職を半分降格させるという対策をとっていますが、こうした風潮は日本中で起こっています。つまり、管理職のポスト自体が急速に減っているため、以前のように誰もが役職に就けなくなった。課長というポストすらなくす企業もあるほどです
「充実した福利厚生」について
こちらも中小企業に比べると大手の方が充実しているとは思います。ただし、最近はベンチャーでは大手にないような既成概念に捉われない福利厚生があるため、使われない福利厚生より実態現状&自分に合った福利厚生という点で考える必要があります。
例)
- 未来工業
- 有給1年間プレゼント、1改善提案で必ず500円(採用されなくても)、残業0、休日がなんと140日
- サイボウズ株式会社
- 最長6年の育児・介護休業制度
- 株式会社フリークアウト
- お菓子食べ放題、エナジードリンク飲み放題
- クックパッド株式会社
- 巨大キッチンで料理を楽しむ!
「長年培った技術、企業体力、企業スケール(大手でしかできない仕事・事業)」について
こちらに関しては、グローバル化・インターネットの発達・ベンチャーキャピタルやクラドファンディングにより大手ではなくても少人数(少数精鋭)のベンチャーでも同じことができるようになってきました。
※詳しくはこちら小さな組織(ベンチャー)でも世界や大手と戦える時代に
改めて、なぜ大手企業への就職を選ぶのか
こういう風に見ていくと、
-
一昔前は大手企業でしか受けれないメリット=優遇(安心・安全や高給、福利厚生)というのがありましたが、現在は中小・ベンチャー企業(大手企業以外)でも受けれる優遇も充実してきており、その差(メリット)は段々と無くなってきている。
(ものによっては、大手企業には逆に無く、中小・ベンチャー企業にだけ有るといったケースもあります。) - 大手企業の一番のメリット(?)である年功序列・終身雇用が、そもそも無くなってきているところがある。
といったようなことが、ちょっとだけ見えてきます。
グローバル時代に適合し、進化・成長して現代を生き残ろうとする大手は、昔ながらの凝り固まった風習・習慣を取りやめ、組織形態を大きく見直し、ベンチャー企業の良いところを取り込んでいっています。
逆に、ベンチャー企業は大手の良いところは取り込み、ただ、自社のオリジナリティ(理念=会社が存在する意義)はブラさずに進化・成長して現代を生き残き、世の中に影響を与えられるようなメガベンチャーになろうとしています。
大手企業もベンチャー企業もその差は徐々にではありますが、その差が縮まってきていると私は感じます。
(もちろん、世の中全ての会社がそうだとは思いません。)
そのため、新卒・中途で就職活動をする方は改めて以下について考えてみると良いかもしれません。
自分が大手企業に就職して望むこと・やりたいことは何だろう?
全てを書きだして、優先順に並び変えてみよう。
そして、上記で書きだした望むことが、実際にその大手企業にあるのか?また、他に実はあるのではないか?
優先順位が高いものから順に調べて、改めて自分と向き合って考えてみよう。
「大手企業への就職が良い・悪いという観点で考えるのではなく、何の目的(意図・意味)や目標、自分の中での優先順位を持って大手企業を志望するのか」ということが重要かなと自分は思っています。