気仙沼テーマパーク計画 ~震災復興と地方創生~
気仙沼テーマパーク構想とは
東日本大震災で大きな被害にあった宮城県気仙沼市でが今観光事業で注目されています。
自治体と民間が一環となって観光地を経営していくというもので、地元企業も積極的に携わっています。
気仙沼市役所にはDMOという新組織が去年7月に発足しました。
DMOはDestimation Management Organizationの略で観光地の経営を担う組織という意味です。
メンバーは復興支援で様々な民間企業から集まってきた人達、いわゆる「よそ者」から構成されています。
このよそ者だからこそ気付く価値を見いだすことができると言います。
DMOチームは気仙沼という地域全体を会社に見立てて自らが経営企画や商品開発を行います。
その上で、市はインフラ整備を担う総務部、観光業界は客を呼ぶ広報営業部、商工会議所は人材育成を担う人事部とそれぞれの役割分担を明確にしました。
このように役割をすることで、以前だと観光パンフレット一つをとっても観光課や観光協会がばらばらに作っており重複したり見どころが絞れてなかったりしたものが、明確に作業を行うようになりました。
気仙沼市のDMOチームが掲げたのはは水産業と観光業の融合です。
漁業に欠かせない製氷の体験ツアーをしたり、地元でよく食べられているメカジキを観光客向けにしゃぶしゃぶにするなど、地元の当たり前を掘り起こして観光につなげてきました。
その効果もあり観光客の数は震災前の8割近くまで回復してきていると言います。
そしてDMOの最終目標は気仙沼のテーマパーク構想です。
造船所や製氷工場など水産事業の面白さを街のいたるところで体験できるリアル版キッザニアにしようというものです。
外から来る人にもっと喜んでもらために、各事業者にこんなことをしてみようこういうものを売ってみようかという様々な発想がうまれることを期待していると言います。
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気仙沼テーマパーク計画その1~造船所を観光施設に~
宮城県気仙沼市の海沿い、陸上に大きな船があります。
水産の街にはかかせない造船所で船の中ではさんまを入れる水槽を作っている真っ最中です。
この造船所を気仙沼テーマパーク計画の一つの観光地にと考えているそうです。
造船所で仕事をしている作業員にとっては何の面白みもない風景かもしれませんが、一般の人にとっては造船所の中を見ることはとても興味が沸くと言います。
例えば操舵室。普段入ることができない操舵室は、子供だけでなく大人にとっても面白いところです。
このような、普段その場にいる人が見慣れていて気付きにくいところにも、一般の人が興味を沸くところは数多くあります。
船を下りた所にあるのは大きなスクリューです。
スクリューで研磨作業をしている作業員にとって、スクリューは見慣れたものかもしれませんが、海に浮いた時点で見えなくなってしまうスクリューを間近で見るのはめったにない機会です。
最近の観光客はこのような普段見ることができない写真を撮ってフェイスブックやインスタグラムに載せます。
そうした口コミで観光客が増えることが考えられるので、大きなスクリューのようにインパクトのある写真が撮れる場所は恰好の惹きつけポイントになるのです。
造船所では稼働中の造船所を2時間で回るツアーを企画しています。
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気仙沼テーマパーク計画その2~カキの養殖場を観光施設に~
テーマパーク構想のための観光施設その2はカキの養殖場です。
養殖場のロープを引き上げるとホタテの貝殻についている小さなカキの種があり、2年たつと大きく育つといいます。
ここではカキの種付け体験と船上でカキを食べるというツアーを企画しています。
計画を進める中で種付けした2年後にも来てもらおうという案や、種付けしたカキを送ろうという案も出てきました。
このような現場での様々な意見は、新たな事業や商品開発にもつながります。
今までなかった考え方新しいやり方を模索しながら、気仙沼テーマパーク計画は進んでいます。
観光地を会社に見立てて経営するという考え方~復興支援と地方創生~
このDMO、観光地を経営するという新たな取り組みは始まったばかりです。
地域全体で外の力も借りながら稼ぐ街になっていくことで一段と潤う街にできるという可能性を秘めています。
政府は今年度から地方創生交付金を使い先進的なDMOの後押しをしようとしており、気仙沼以外にもDMOを導入し始めているところが多いといいます。
今後の地方の観光業に注目が集まっています。
参考-WBS(2016/5/3)