ポケモンGO×地域活性化・企業売上向上の事例 ~社会現象を巻き起こしたポケモンGO、社会への影響は~
ポケモンGOとは
ポケモンとは、ポケットモンスターの略で1996年にゲームボーイ用ソフトとして販売され今なお新シリーズが出続けているロングヒットコンテンツです。
ゲームボーイのポケモンはゲームの中の街や草原などを歩き回り、モンスターボールというボールをポケモンにあてて捕まえ、育成して戦わせるゲームです。
30代前後の年代ではゲームボーイの白黒画面で楽しんだ記憶がる方も多いのではないでしょうか。
引用-NINTENDO3DS
ポケモンはアニメ化され、日本だけではなく世界各国で楽しまれる日本のゲームやアニメ文化の象徴的存在にもなっています。
そして、2016年8月現在、社会現象を巻き起こしている「ポケモンGO」は、ポケモンの世界観やキャラクターと拡張現実AR(Augmented Reality)及び(スマホの)位置情報を利用したスマホ用ゲームです。
ポケモンGOではスマホの位置情報とAR(拡張現実)という技術を利用して、実際に街にポケモンが現れるようになるのです。
そして、ポケモンが現れたらモンスターボール(※下図の赤いボール)を使ってモンスターを捕まえて遊ぶゲームです。
引用-ポケモンGO 公式サイト
ポケモンが誕生して20年、AR技術で現実世界に現れたポケモンをあたかも実際に捕まえたよう体験ができるゲームは大人も子供も巻き込んで社会現象になりました。
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ポケモンGOが起こした社会現象
アメリカでのポケモンGOの配信から遅れること2週間とちょっと、日本では2016年7月22日朝10時に配信されました。
この時ツイッターではポケモンGOに関するつぶやきが1時間で約17万件というツイート数に達したといいます。
2016年8月8日時点でインストールサイトを見てみると全世界でダウンロード数が1億を突破しています。
全世界の人口が約72億7千万人、未だ中国などでは配信されていないにも関わらず、約1.4%に達すると考えるとすごいことですね。
(インストールが1人1台とは限りませんが)
今現在も世界各地で配信がスタートしており、ダウンロード数は今後も増えることは明らかです。
そんなポケモンGOが社会に及ぼした影響は良くも悪くも決して小さいものではありません。
(聖地と呼ばれる名古屋市昭和区の「鶴舞公園」で「ポケモンGO」に興じる人たち)
引用-朝日新聞
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ポケモンGOは、なぜ地域活性化や企業の売上向上につながるのか?
ポケモンGOを地域活性化や企業・店舗の売上向上に役立てようという動きが、各地で起こっています。
ではなぜ、ポケモンGOが地域活性化や売上向上につながると考えられるのでしょうか。
ポケモンGOを地域活性化や売上向上に活用するために重要な要素となるのは「ポケストップ」の存在
ポケモンGOで遊ぶために必須といって良いほど必要になるの「ポケストップ」という場所の存在にあります。
(※以下図の青いスポットがポケストップ)
引用-ポケモンGO 公式サイト
ポケストップはポケモンGOを遊ぶにあたり非常に重要な要素となります。
ポケモンGOで遊ぶためには、このポケストップがある場所に行って、
-
ポケモンGOで遊ぶためのアイテム(特にモンスターボール)を入手し、
※ポケストップをタッチして、スワイプという操作をするとアイテムが入手可能
引用-ポケモンGO 公式サイト -
ポケストップ周辺に現れるポケモンをモンスターボールで捕獲して、
引用-ポケモンGO 公式サイト
遊ぶゲームとなっているからです。
もちろん、上記1で述べたモンスターボールなどのアイテムは有料で買うこともできますが、このポケストップに行けば5分毎に無料でポケモンを捕まえるのに必要なモンスターボールを含むアイテムをゲットできるのです。
ポケストップがあればアイテムを無料で入手でき、課金せずに無料でゲームを遊ぶことができるため、ポケモンGOで遊ぶ人たちはこのポケストップ周辺に集まって遊ぶことが多いです。
「ポケストップ」は実在する世界の観光名所や建造物やオブジェに設定
そして、このポケストップは実在する世界の観光名所や建造物やオブジェなどに設置されています。
(他にも郵便局や駅などの公共施設にも設置されています。)
(ポケストップに設定されたオブジェを、ポケモンGO(スマホの画面)を通して見る)
引用-携帯マニア.com
そのため、ポケモンGOで遊ぶ人は、ポケストップがある場所に足を運ぶことになります。
ポケストップの活用で集客を狙え!
そのため、ポケモンGOで遊ぶ = ポケストップに行く = 実在する名所などに足を運ぶ = 人が集まる(集客)という公式が成り立ちます。
ポケンモンGOで遊ぶ人たちは、ポケモンGOで遊びたければ、必然とポケストップが設置された場所に実際に足を運ぶことになるため、ポケモンGOをうまく活用すれば大きな集客効果が狙えることになります。
これがポケモンGOが地域活性化や売上向上に繋がる大きな理由の1つと言えます。
また、詳細は後述しますが「ポケストップ」でポケモンが出現しやすくなるルアーモジュールというアイテムを使うと、ポケモンの出現率が高くなり(大量のポケモンが現れるようになり)、それを狙ってより多くの人が集ってきます。ルアーモジュールを使うと、ポケストップに花弁が舞い一目でわかるため、ポケモンGOをしている人はこの恩恵(=ポケモンを大量に捕獲できるチャンス)にあずかろうとその場所に足を運ぶのです。
(ルアモジュールが使用されたポケストップには花びらが舞って一目で分かるようになる)
そのため、このルアーモジュールもうまく活用すれば更に大きな集客効果を狙えることになります。
冒頭でも述べたとおり、世界で1億人を超えるインストールがされているほどポケモンGOで遊んでいる人がいますので、狙いがうまく当たれば、その効果は絶大です。
もちろん、ブームが過ぎることもありますし、すでにやめてしまった人もいると思いますが、それでもまだポケモンGOの集客効果は大きいと考えられます。
ポケモンGOと企業の売上向上の事例 ~企業や店舗などの売上への影響は?~
日本マクドナルドホールディングスの事例
日本マクドナルドホールディングスではポケモンGOと連携したサービスが始まりました。
全国のマクドナルドには、上記で紹介したゲームの拠点になるポケストップや、捕まえたポケモンを戦わせることができるジムが設置されています。
(スマホのポケモンGOの画面を通して、マクドナルドを見ると「ジム(※上図画面内でドラゴンのポケモンが乗っている建物)」が出現)
引用-RBB TODAY
これにより日本マクドナルドホールディングスが2016/8/4発表した7月の既存店売上高は前年同月比26.6%アップとなりました。
客単価は前月比0.7ポイント増と伸びは小幅でしたが、客数は9.8ポイント増と、前月の3.3ポイント増から大幅にアップした形となります。
不動産業界の事例
アメリカの事例ですが、不動産会社にもポケモンGOが影響を及ぼしているそうです。
物件情報にポケモンGOの「ポケストップ」や「ジム」の情報を載せたところ、売り上げが伸びたといいます。
特に、部屋にいながら「ポケストップ」と「ジム」が両方使える物件は、配信すぐに埋まってしまうほどの勢いだとのことです。
ポケモンGOと地域活性化の事例 ~ポケストップ・ジムの増設~
鳥取砂丘の事例 ~ポケストップで集客、ホームページや周辺環境も整備~
地域活性化にポケモンGOをいち早く取り入れた自治体は鳥取県です。
鳥取県のホームページには「とっとりGO」という鳥取県ポケモンポータルサイトが誕生し、「鳥取砂丘スナホ・ゲーム解放区宣言」をだしました。
引用-とっとりGO
鳥取砂丘は車などの乗り入れができないため比較的安全にゲームが楽しめる場所です。
砂丘の「調査くい」にポケストップやジムが設定されているようで、とっとりGO によるとポケストップの数100以上と記載されています。
永遠とアイテムを取り続けることができそうですが、くれぐれも熱中症にはご注意ください。
また、砂丘の最頂上「馬の背」では無料Wi-fiも使えるとのことです。
その上、ポケモンGOをしにくる人の夜の安全確保のため、砂丘の入り口階段に足元灯を新たに設けるほどの気合の入れようです。
このように、自治体が積極的にポケモンGOを使い、人が集まることで地域活性化につながるという取り組みが広がっています。
被災地4県の事例 ~ポケモンGOと提携して復興に活用~
東日本大震災で被災した岩手県、宮城県、福島県と、熊本地震で被災した熊本県が、ポケモンGOの運営会社ナイアンティック社と共同記者会見を行い、ポケモンGOを活用した「被災県観光振興」を目的に取り組んでいくと発表がありました。
引用-jiji.com
今あるポケストップやジムを活用するのではなく、新たな設置も視野にいれてナイアンティック社と自治体が手を結ぶ初めての事例となります。
自治体とポケモンGOの運営会社が協力し、ポケモンGO楽しみながら観光の復興に役立てていくことを目的としています。
具体的な内容は今後話し合われるということですが、案としては以下のようなことが出ています。
- ポケストップ、ポケモンジムの追加
- 周遊促進のための追加
- ポケストップ、ポケモンジムを活用した周遊策
- 周遊ルートマップなどの作成
- ポケモンGOと被災沿岸部地域を結ぶイベント開催
- 関連イベントの開催
会見ではレアなポケモンを出現させることについても否定はなかったようで、今後の動きが注目されます。
ポケモンGOはポケストップの多い大都市優位になっており、ポケストップの少ない地方ではポケモンの出現率も低く、出ても同じポケモンばかりと、ポケモンを捕まえて図鑑を埋めるいう点において十分に遊ぶことができないゲームになっています。
被災地復興を行うのであれば、ポケストップやポケモンジムを多数増設し、ポケモンの巣ともいわれるポケモンが出やすい地域を作り、人に足を運んでもらう必要があります。
ポケストップの増設申請は現段階でホームページなどでは行われていません、今回運営会社ナイアンティック社と直接手を結ぶことができたのは、実現する可能性を高めることだと思います。
マナーの問題など課題はありますが、人が集まる可能性と人が留まる可能性を持っているポケモンGOが被災地復興に活用されることが期待できる取組に名ています。
千林商店街の事例 ~ルアーモジュールを活用して商店街を活性化、ポケモンも人も大量発生(集客)!!~
自治体は直接運営元のナイアンティック社と手を結びましたが、一商店街では至難なことです。
ポケストップの増設を申請できない現状、今あるポケストップを有効活用し、商店街の活性化をしようという動きが広がっています。
上記でも書きましたが、ポケモンGOのアイテムの中に「ルアーモジュール」というものがあります。
これはポケストップに設置することができ、設置している間はポケモンが出現しやすくなるというものです。
このルアーモジュールを使って、商店街で人を集めようとする動きがあります。
引用-千林商店街
ルアーモージュール一つの値段は100ポケコイン、100ポケコインが120円で購入できるので、ルアーモジュールの値段は1つ120円です。
ポケコインはまとめて買うと安くなるので、少なくとも120円以下の値段でルアーモジュールを購入することができます。
ルアーモジュール一つの効果は30分間。
大阪の千林商店街はこのルアーモジュールを使って街興しを取り組みました。
(千林商店街の商店街通りがルアーモジュールで桜並木のように)
引用-つねづネット
商店街にあるポケストップ11か所すべてに午前10時から午後7時までルアーモジュールを設置し続けるイベントです。
9時間×2個(1個30分)×11か所=198個のルアーモジュールの費用は15,000円ほどだと思われます。
(ルアーモジュールもポケコインもまとめて買ったら割引があるため)
このイベントを行ったところ、商店街の人通りは通常の3倍ほどになったそうです。
商店街全体でいえば、費用対効果は十分にあったのではないでしょうか。
また、千林商店街では歩きスマホを防止するためにポケストップのあるマップを作成しています。
当日の商店街の様子では、若い人だけでなくご年配の方もポケモンGOをしているそうで、幅広い年齢層の方々に楽しまれているようです。
第1弾が好評だったため、第2弾も行われていました。
このように、商店街が独自にイベントを行い、街興しをしているところもあります。
ポケモンGO特需の事例~ポケモンGOを快適に遊ぶために様々な商品が特需の恩恵~
ポケモンGOの配信により、恩恵に預かったお店も多くあります。
実際に街を歩いて遊ぶゲームということもあり、電気量販店はポケモンGOの配信に合わせて携帯バッテリーの販売数を増やしたところ、すぐに品薄になったそうです。
公園などに長時間滞在することもあることから、折りたたみ椅子も販売数が伸びているという話もあります。
また、真夏ということもあり、クールタオルや熱中症防止グッズなどの暑さ対策グッズや、虫よけスプレーなどの虫対策グッズなど、家電量販店だけでなくポケモンGOの恩恵に預かった店も多くあります。
ただし、販売の伸びは配信直後ピークを迎え、その後は例年並みに落ち着いたという話も出ています。
改めてポケモンGOを活用した集客で地域活性化・売上向上を狙うためには
ポケストップの設置及び活用が重要
現在ポケストップは削除申請はホームページで受け付けているものの、新設申請は受け付けていません。
上記の自治体のように、直接ナイアンティック社と手を結ぶことができれば増設も考えられますが、商店街や一般企業では難しいのが現状です。
ポケモンGOの恩恵に預かるためには、大阪の千林商店街のように、既存のポケストップをうまく使って集客することが必要となってきます
失敗する事例も
このようなポケモンGOを使った街興しでは、失敗する例も出てきています。
ポケモンGOを使うことで集客効果は大きいのですが、実際に足を運んだ地域でお金を使うかということは別の話になります。
目的がポケモンGOだけであれば、実際に訪れても目的のポケモンを探してゲットするだけで他は素通りになってしまいます。
また、立ち入り禁止場所や危険地域に入る人もいるため、警備や看板の設置など対応にコストを費やしたという事例もあります。
単にポケモンGOを使って人を集めるだけでは、街興しにはにならないのです。
ポケモンGOによる悪い影響もしっかりと把握してその対策を
ポケモンGOによって発生したトラブル事例
配信直後からポケモンGOによって発生したトラブルが数多く報道されました。
歩きスマホ、自転車スマホによる事故・被害
ポケモンGOをしながら自転車に乗っていた人が赤信号に気づかず、別の自転車とぶつかるという事故や、歩きスマホによる接触、スマホ操作をしている人を狙ったひったくりなどの事故・被害が相次ぎました。
私有地や立ち入り禁止地区への立ち入り
私有地をはじめ、世界では地雷が埋まった地域や軍事基地に侵入するという事件が起こりました。
アメリカでは夜ポケモンGOをしながら私有地に立ち入り、住人に銃で撃たれたという事件もあります。
日本でも熊本城で立ち入り禁止地区に侵入したり、迷って高速道路に入り込んだという事件もありました。
運転中スマホによる検挙
ポケモンGOだけの影響だけとは限りませんが、ポケモンGOが配信されて以降運転中のスマホ使用での検挙数が増えています。
検挙だけでなく、事故事例多く上がっています。
公園のごみ被害
ポケモンの巣といわれる特定のレアなポケモンが出る地域には人が多く集まります。
夜通しでゲームをする人も多いのですが、一夜明けてみるとゴミだらけということもあるそうです。
ほかにも数多くの悪影響が発生しています。
ポケモンGOをゲームする際には法律とモラルとマナーを守る必要があります。
また、街興しや地域活性化にポケモンGOを活用する際は、利点もある反面このようなことが起こりうると認識し対策を立てることも必要です。
ポケストップの削除申請
上記でポケストップを新たに設置したり、ポケストップを利用しての事例を紹介しました。
ホームページ上では新たな申請を受け付けていませんが、削除申請は受け付けています。
広島、長崎の平和公園や神社仏閣、高速道路上、原子力発電所など、ゲームをするに相応しくないと判断したり、そもそも立ち入るべきでない場所だったりするところは、ホームページから削除申請をします。
削除申請を受け、実際に削除されているところもあります。
最期に
ポケモンGOの配信は様々なところに影響を与えることになり、全世界を巻き込んでの社会現象になりました。
うまく活用すれば地域活性化や被災地復興、企業・店舗の売上向上など、良い影響を与えることができる反面、上記にあるようなトラブルなどの悪い影響もあります。
今後はポケモンGOだけでなくARを駆使したゲームも増えていくと思われます。
良い方も悪い方も両方の影響を把握し、活用していくことが必要になります。